SONY LDAC対応BluetoothヘッドフォンMDR-1ABT導入2018年03月10日 07時08分

長年使ってきたiPod touch4のバッテリがへたり気味で、最近通勤時の音楽再生はスマホのXperia XZを使うことが多くなってきました。
iPodからXperiaに変更するにあたり、せっかくLDAC対応のスマホなので、Bluetoothヘッドフォンも更新することに。オークションでZX770BNとNikon D300を放出し、その資金でSONYのMDR-1ABTを中古購入しました。

SONY MDR-1ABT

特徴は、

 ・Bluetooth(SBC,AAC,aptX,LDAC対応)…古い機種なのでaptX HD非対応
 ・LDAC搭載で、Bluetoothでもハイレゾ(24bit/96kHz相当)に対応
 ・30時間再生に対応
 ・NFCペアリング対応
 ・タッチパネルにより操作可能
 ・通話用マイク搭載
 ・ノイズキャンセリングは非搭載

昔はBluetoothヘッドフォンは音質が悪い、というのが定説でしたが、それまで柄tyていたMDR-ZX770BNも、コーデックはAACかaptXですが、割とまあ悪くはない(ベースのヘッドフォン自体がそれなりなので、その部分で音質はそれなり)ですし、何より外で使う際にコードの煩わしさから開放されるのはとても楽です。
昔の自分なら、それでも有線ヘッドフォンにこだわったでしょうが、歳を取ったせいかな? 無線の便利さを知ると、これでいいかなと思いました。どうせ普段聞いているのは、radikoで録音したラジオがメインですし。
ただ、iPod touchでは再生できないハイレゾ音源を、Xperiaなら出来てしまいますし、実際ハイレゾ音源を入れて聞いてみると、例えそれがBluetoothのAACやaptXで圧縮されたとしても、割とよく聞こえるんです。それはハイレゾだからというよりは、元々のマスタリングが良いからと言うのもありますが。
なので、LDAC接続なら、よりハイレゾ音源を活かせます。

余談ですが、巷ではハイレゾ対応=超高音再生できるか否かで語られていますが、それは大きな間違いです。周波数特性の上限が20kHzまでだからハイレゾヘッドフォンじゃない、と言った誤解がよく語られています。あれはメーカーが消費者をそう仕向けているのも悪いんですけどね。そもそも聞こえない音ですし、ハイレゾ音源の周波数特性をスペクトラムアナライザで解析しても、人間の耳によく聞こえる500~2kHzと比較して、例えば30~40kHzあたりは-40dB(1/100)~-80dB(1/10000)程度の音圧しか無いわけです。
可聴範囲内でも、ハイレゾ音源は量子化・標本化のデータ密度が大きいので、デジタル→アナログ変換した際の波形の忠実度が高くなる、ハイレゾ音源はそう理解すればよいでしょう。
なので、世の中にハイレゾ音源を再生できないスピーカーもヘッドフォンも存在しません。
その昔CDが世に登場した際にも、デジタル対応スピーカーなるものが発売され、そうじゃない従来のスピーカーは壊れる、と言った誤解もありました。いつの時代も科学に疎いと損をしますね…。


Bluetoothでハイレゾ相当の再生を実現するLDACは、今のところヘッドフォンやアクティブスピーカーなどは、開発したSONYと、TEAC、Radiusなど一部のメーカーの製品に留まっているものの、今のところXperia XZだけで使うことが前提なので、まあいいでしょう。
Android8.0からは、Xperiaに限らずOS側が標準でLDACとaptX HDをサポートするようなので(ただし実際に対応するかは、スマホのメーカーに依存するところが大きいようです)、少なくとも今後再生機側は環境が整って行くでしょう。

↓LDAC発表時のimpressの記事

今回導入したMDR-1ABTは、SONYの最新のワイヤレスヘッドフォンWH-1000XM2のようなノイズキャンセリングはないものの、ベースとなったヘッドフォンはより高級なMDR-1Aなので、ノイズキャンセリングがない分、音質そのものにこだわったものです。
実際、様々なレビュー記事を見ても、音質自体はWH-1000XM2よりMDR-1ABTのほうが上と書かれていたりします。

自分も、以前のように出張がちで新幹線に乗る機械が多かった時は、ノイズキャンセリングヘッドフォンが羨ましかったわけですが、今実際に使ってみて、自分の使い方ではあまり必要ないかな、と思いました。
なので、あえて、もうそろそろ廃番になりそうだけど、実質の後継機もないMDR-1ABTを選定した次第。
見た目は流石に値段なりに上質で、ZX770BNのような安っぽさは皆無です。


●装着感
なかなか良いです。
パッドに厚みがあって、かつ適度に柔らかいので、長時間装着していても頭が痛くなりにくいです。
加えて、常時メガネ着用の私でも、眼鏡のつるがパッドで圧迫されてズレる、ということもありません。
もっともこのあたりは個人差があるので、あくまで個人の感想ですが。

パッドはソフトかつ厚みがある


●使い勝手
◆Bluetooth接続
接続は、NFCで簡単にできます。
WH-1000MX2のように設定用のアプリ等は用意されていないため、ただBluetoothで接続するだけと、極めてシンプルです。
Xperia XZでは、自動的にLDAC接続となり、特段これと言った設定は必要ありません。強制的にSBCにする設定はなく、LDACのみでの再生です。
ただし、LDACもビットレートが3種類あり(990/660/330kbps)、電波状況に応じで自動的にビットレートを設定するか、音質優先にするかは、Xperia XZ(Android7.0)では選ぶことができます。

LDACは音質有線か自動が選べる

通勤で使ってみると、街中や電車内では、音質優先設定にすると、プツプツ音が途切れる事がありました。
特に駅の地下へ通じる階段のような場所は、電波が乱反射するのか、途切れることが多いです。
室内で使う分には、音質優先で問題なかったですが、通常は自動設定で良いでしょう。
自動設定で、ビットレートの変化を明らかな音質の違いとして感じることはなく、シームレスに切りかわているようです。ただ、現在のビットレートが不明なので、そういう表示ができるといいですね。


◆操作性
物理スイッチは電源ボタンのみで、右側のハウジングをタップしたりスライドさせることで操作が可能な、タッチセンサーコントロールパネルを搭載しています。
それまで使っていたZX770BNはスライドスイッチでした。
2回タップすることで再生と一時停止、長押しで停止、前方にスライドさせることで次の曲、逆方向は戻る、スライドさせたまま指を離さないことで早送りや巻き戻し(今時巻くって言わないかw)、上下スライドでボリューム調整となります。
実際使ってみると、ボリュームを上げるつもりが次の曲になったり、早送りや巻き戻しが曲飛ばしになってしまうなど、あまり確実性はないように思いました。
録音したラジオをよく聞くので、割りと早送りは使いたいのですが、次の曲に飛んでしまうことが多々あり、少々コツが必要なようです。


◆バッテリ
ZX770BNが10時間でしたが、1ABTは30時間と3倍に。実際使ってみても、私のように通勤片道20分程度の使い方だと、3週間使ってもまだバッテリは残っています。
充電回数が減るということは、すなわちバッテリのヘタリも遅くなるということ、また出先でバッテリ切れを起こす心配もかなり減るかと。
ZX770BNは、バッテリがまだ半分残っているかなと思う赤点滅2回(3回が容量十分、1回はそろそろ切れそう)から点滅1回までの容量がわかりづらく、まだ使えると思っていたら切れてしまうことが度々ありました。
1ABTなら、点滅1回になってからもまだ少し余裕が感じられます。
ちなみに、ZX770BNでは剥き出しだったUSB端子は、1ABTではカバーされています。
ちょっと強度がなさそうですが、バッテリのもちが良く、充電頻度は少ないので、実用上は問題ないでしょう。

USB端子はカバーされている



●音質
◆Bluetooth(LDAC)+ Xperia XZ
プレーヤーは、Xperia標準のミュージックアプリを使用。

Xperia標準のミュージックアプリ

ハイレゾ音源は、HR表示が出ています。
山崎まさよしのライブでは、臨場感と言うか、空間再現が非常に良いです。ちゃんと空気感が伝わってきます。Bluetooth接続でこれはなかなかのものです。少なくとも、無線接続による音質的なデメリットは感じません。

音源がMP3のような圧縮音源であっても、元の録音が良いものは、音の粒立ち、空間再現が素晴らしいです。低音域もズズンと出て、ややドンシャリ傾向な気もしますが、解像度は高く、ノイズキャンセリングなしのヘッドフォンですが、街中の騒音下でも音が明瞭に聞こえるので、ノイズキャンセリングの必要性をあまり感じません。
その代わり、騒音はそれなりに入ってくるので、ノイズキャンセリングなしのカナル型よりは外音は入ると思って良いです。
前機種のZX770BNと比較すると、明らかにランク、いやツーランクアップを実感できます。いわゆる、今まで聞こえなかった、埋もれていた音が聞こえます。

LDACか否か以前に、素のヘッドフォン自体の性能が素晴らしいですが、LDACの音質優先モードであれば、一般的なCD音源は劣化をほぼ気にせず再生でき、ハイレゾ音源であっても、圧縮により弊害はほぼ感じないと言って良いでしょう。



◆Bluetooth(AAC) + iPod touch
もはや骨董品、音楽プレーヤーとしてもオワコンなiPod touch、しかもiOS6.1.6でアプリ系も全滅(今入っている古いものしかもう使えない)ですが、音楽再生だけは問題なく可能です。
iOS5からBluetoothのAACコーデックをサポートしているので、AAC接続となります。
iPod自体に圧縮音源しか入れていないですが、割とよく聞こえますね。ハイレゾにはなりませんが、失われた微細音を補完するDSEEの効果でしょうか、これはこれでよく聞こえます。
粒立ちや広がり感はLDACほどではありませんが、比較しなければこれでも必要十分と感じられます。
少なくとも、iPod内蔵のしょぼいDAC+ヘッドフォンアンプより、だいぶ良い音で聞けるのではと思います。
iPodのイヤホン出力をあえて使うメリットはないでしょう。
ちなみに、iOSの場合、ヘッドフォン側のバッテリ残量が表示表示されます。Androidでも表示できれないいのに。

ヘッドフォンのバッテリ残量表示
↑右から2番目がヘッドフォンのバッテリ残量表示



◆有線接続 + iFi micro iDSD
ヘッドフォンアンプの優れたUSB-DACのiFi micro iDSDを使用。Windows10 PCからfoobar2000を使って再生。
ベースとなったMDR-1Aのような、左右のアースが独立した端子ではなく、共通の一般的な3極プラグでの接続になります。なお、micro iDSDもヘッドフォン
付属の有線ケーブルは、あくまで携帯機器との接続を前提としたL字のステレオミニプラグなので、家で有線接続するにはケーブル長が短すぎます。市販のケーブルを使用するのが良いでしょうが、ヘッドフォン側の端子は一般的なケーブルが挿せないようにしているのか、ステレオミニプラグではありますが、少し奥まったところに端子があります。一応、それに対応するケーブルも売っているようなので、家では有線派の方は、試してみると良いでしょう。少なくとも、付属の有線ケーブルは、あくまでバッテリ切れ時の緊急用と言った感じのペナペナなケーブルで、音質を考えているようには思えないものです。今回は代わりのものがないので、純正ペナペナケーブルを使用しています。

オマケレベルのペナペナ有線接続ケーブル

我が家のリファレンスヘッドフォン、SONYのMDR-7506と比較すると、淡々と鳴り面白みにかける7506(モニターヘッドフォンだから当たり前)に対し、解像感や空間再現性はMDR-1ABTが勝る印象。悪くいうとややドンシャリ気味にですが、ボーカルの唇の動きまで感じられそうなウェット感、ドラムのアタックが体の芯まで響く感触は1ABTが上です。
やはり、音の善し悪しを確認するためのヘッドフォンと、音楽を快適に聞くためのヘッドフォンは別物ですね。
私の場合は、淡々と飾らずに鳴る7506も好きなのですが、長時間聞くと、高音域の突き刺さる感じの音は耳が疲れるのも事実で、1ABTなら粒立ちが柔らかく、パッドも厚いので長時間快適に聞ける気がします。


◆有線接続 + Xperia XZ
Xperia XZへの接続では、元々がスマホなので、ヘッドフォンアンプや内蔵DACはそれなり、それでもハイレゾ音源の録音の良いものは、Bluetooth接続に引けを取らない感じです。
ただ、Bluetooth接続のほうが、解像感というか立体感が出る気がします。
無線接続なら、アース共通の有線接続より、ヘッドフォン内臓のアンプでアースが独立する分有利になるのと、プレーヤー側のヘッドフォンアンプの性能に左右されることなく、内蔵のデジタルアンプで再生できるからです。
デジタルアンプ自体も、恐らくはヘッドフォンの特性に合わせて最適化されているでしょう。

スマホでLDAC接続の場合、あえてアナログの有線ケーブルで接続するメリットはなさそうです。
これがWalkmanなど、ある程度のアンプとDACを備えた専用機になってくると、また話は変わってくるでしょう。


ここではまだ試していませんが、Windows10はOSが標準でaptXをサポートしているようです。
したがって、今手持ちのノートPC、東芝のdynabook R73/PB(Win8→Win10にアップ済)のBluetooth接続でaptXとなります。
機会があれば、こちらでも音質確認してみたいです。

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