ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」(その4)2018年10月26日 06時37分

試作レンズ、たくさんあって全てを紹介しきれませんので、かいつまんで。
ここからは、作例はなく展示のみですが、広角から望遠まで、様々な試作レンズが並んでいます。
どれも、普段目にすることができない貴重なレンズたちです。

●AI Fisheye-Nikkor 8mm f/2.8S
AI Fisheye-Nikkor 8mm f/2.8S

同名称のレンズは、1977年に発売されていますが、そのレンズを等立体角射影方式とした試作レンズです。
等立体角射影方式とは、SIGMAが実際に商品化していますが、撮影された写真の面積を計測することで、視界に対する被写体の割合を求められる…という、我々一般市民からすればナンノコッチャですが、やはり学術的、工業的要素の強いレンズですね。
80年代になると、数多くあったNikonの魚眼レンズも、開発ペースは落ちています。
このレンズも、そういった事情から市販されなかったのでしょう。


●Fishieye-Nikkor Auto 7.5mm f/2.8  AI Fisheye-Nikkor 8mm f/2.8S
Fishieye-Nikkor Auto 7.5mm f/2.8  AI Fisheye-Nikkor 8mm f/2.8S

魚眼全盛期に開発されたFishieye-Nikkor Auto 7.5mm f/2.8と、先程ご紹介の8mmとの比較。
大きさはそれほど変わっておらず、やはり8mmや7.5mmクラスの魚眼はこのくらい大きくなってしまうのですね。


●PC-Nikkor 35mm f/2.8  PC Nikkor 28mm f/4
PC-Nikkor 35mm f/2.8  PC Nikkor 28mm f/4

いわゆるシフトレンズは、Nikonでは1962年に、PC Nikkor 35mm f/3.5が発売されました。28mmのPC Nikkorは1975年まで待たねばなりませんでしたが、その4年前の1969年に、すでに自動絞り化を目指していたようです。
PCレンズは、レンズがシフトする構造上、通常のレンズのように、マウント手前に絞り機構をもたせると、シフトした際に光軸から絞りがズレてしまいます。このため、レンズ前側に絞り機構を設けていますが、そうするとカメラからの機械連動で絞りを制御することが難しくなります。自動絞り化は、機械連結ではかなり複雑になったようです。
同じく35mmも自動絞り化を目指したようですが、断念。
自動絞り化は、2008年に電磁絞りが採用されたPC-E NIKKORが発売されるまで、PCレンズ登場から実に40年近く経つまで待たなければなりませんでした。
この辺り、レンズ内AFモータ、電磁絞りを当初から採用したCanonのEOSに遅れを取ってしまいましたね。

今日はここまで。

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