ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」(その3)2018年10月25日 05時57分

作品展示レンズは後2本です。

●Reflex-Nikkor 1000mm f/11
Reflex-Nikkor 1000mm f/11

Reflex-Nikkor 1000mm f/11

こちらはZ 7との組み合わせ状態での展示。
反射光学系の望遠レンズであるReflex-Nikkorは、60年代から80年代にかけて発売されましたが、このレンズももう製品化手前まで行っていた感じがしますね。
同スペックのレンズは、1976年にNewタイプで発売されていて、本レンズはその改良版となるはずだったようですが、実際に1984年に発売されたのはReflex 500mm f/8のみでした。
1000mmともなると、超望遠レンズであり、扱いはかなり難しいと思われ、数があまり出ないこの手のレンズは、前作から8年程度でのモデルチェンジは、減価償却的にも難しかったのかもしれませんね。
なお、NikonのReflexは、84年の500mm f/8(New)を最後に新規発売はされておらず、2005年に販売終了しています。

作例の写真は、製品として出しても何らおかしくのない、超望遠ならではの圧縮効果、ややうるさいボケでした。
この手の尖ったレンズ、Reflexは反射光学系ゆえ光学的にAF化が難しく、MINOLTAから1本発売されたのみですが、ミラーレスであればコントラストAFも使えますし、開放f値の暗さも一眼レフほどは問題になりませんので、ぜひZマウントのAFレンズで商品化して欲しいですね。


●Auto Nikkor Telephoto-Zoom 85-250mm f/4 (1958)
Auto Nikkor Telephoto-Zoom 85-250mm f/4

すみません、この写真のみ開発年が隠れています。1958年です。つまり、Fマウントが発売される1年前で、この時すでにズームレンズが開発されていたことになります。
いわゆる、MFのZoom-Nikkorレンズ特有の被写界深度指針の「ヒゲ」は、もうこの頃に確立されていたことを伺わせますが、試作レンズゆえ、紙に描いたものを貼り付けていたようです。
今どきの望遠ズームより大きいですが、固定f値なのが素晴らしい。
なお、実際に発売された製品としては、1967年により高倍率化されたZoom-Nikkor Auto 50-300mm f/4.5があり、このレンズの試作経験が大いに生かされたものと思われます。

作例は、流石に古いズームだけあり、コントラストはもう一歩な感もありますが、悪くはないといったところです。


●Zoom-Nikkor Auto 35-400mm f4.5
Zoom-Nikkor Auto 35-400mm f4.5

60年代後半から70年代に入ると、ズームレンズのラインアップも増えてきましたが、なんと70年代に10倍を超えるズームレンズが試作されていたとは驚きです。35mmという標準域から、400mmまでの超望遠の入り口までを1本でカバー、しかも開放f値がf/4.5で固定なのもまたすごい。
でも、この巨大なレンズは、昨今の高倍率ズームレンズとは違い、もはや超望遠レンズと変わらないですね。
単焦点の400mm f/4.5だとしても、当時を考えれば割と良いスペックですからね。

ただ、作例を見ると、このレンズのみ画質は「う~ん」となってしまいました。まさかこのレンズも、Z 7のような高画素デジタルカメラで撮影されるとは夢にも思っていなかったでしょう。コントラストは低く、ボケも収差の影響がもろに出ている感じでした。
このレンズはスペックは良くても、Nikkorとして発売するには少々画質が物足りなかったのでしょうね。そしてこの巨大なレンズでは、サイズも値段も一般ユーザーには手が届かなかったでしょう。


▼マウントアダプターFTZと非AIレンズの装着につきまして
マウントアダプターFTZと非AIレンズの装着につきまして

大事なことなので、文字に起こします。
FTZの説明書には、非AIレンズは装着不可となっていますが、展示ではその非AIレンズで撮影しています。

"AI方式を採用する以前の「Auto-Nikkor」などの交換レンズには、レンズ後部の突起物や絞りリングの形状によって「マウントアダプター FTZ」に装着するとは心、故障する可能性のあるレンズがあります。そのため、カタログなどでは、このような組み合わせは「使用できません」と表記し、注意をお願いしています。
本店での撮影の際は、「マウントアダプター FTZ」を使用するレンズの取付状態を確認した上で撮影しています。"

だそうです。
実際、Auto-Nikkor時代のレンズは、絞りリングのスカートの深さに個体差があり、レンズによっては無理に装着するとボディやレンズを破損させる可能性があります。
装着の際は、硬いなど違和感があった場合は、無理に装着しないことをおすすめします。

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