ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」(その2) ― 2018年10月24日 06時19分
ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」の続き。
よくぞ保存しておいてくれた、試作レンズの続き。通常、どこのメーカーも試作品は廃却の運命をたどることが多いので、こうして保存しているニコンは凄いですよ。資産とか、どういう扱いになっているのかな?
●Refre-Nikkor 400mm f/8
1961年に反射光学系のReflex 500mm f/5が発売されていますが、それより焦点距離を縮めて暗くして、安価な望遠レンズというのを狙いたかったのでしょうね。
現実には、400mmのReflexは中途半端だったのかもしれません。この当時、まだまだ一眼レフカメラは高価で、誰しもがおいそれと買えない時代でした。このレンズは開発が早すぎたのかもしれません。
展示の作例は、反射光学系らしいリングボケ、やや薄いコントラストで、少し物足りない気がしました。
他メーカーを見ても、Reflexは500mmから、というのが一般的なようです。
●Micro-Nikkor Auto 55mm f/4
Micro-Nikkor Autoは、1/2倍撮影が可能な55mm f/3.5が1963年に発売されていますが、M2接写リング装着時(1/2倍~等倍)には露出系接続のためのカニ爪連動ができないのが欠点でした。
この為考えられたのが、このレンズと中間リングでしたが、観ての通りメカメカしいギミックは如何にも試作品という趣で、流石にこのまま発売は難しかったのかもしれません。
作例はさすがMicro-Nikkor。解像度が高く、文句のつけようのない素晴らしい描写でした。
●AI OP Fisheye-Nikkor 10mm f/2.8S
OP=正射影方式 (Orthographic Projection)の魚眼レンズは、1968年に、ミラーアップして取り付けて撮影するOP Fisheye-Nikkor 10mm f/5.6が発売されました。OP方式のNikkorは、市販化されたのはその1本のみでした。
60年代から70年代にかけて、Nikonは数多くのFisheye-Nikkorを市販化しており、当時魚眼レンズは一般撮影者向けというよりは、天体撮影など学術的な用途に用いられることが多かったことからも、数多くのFisheyeがラインアップされていたのでしょう。
そのFisheyeも、80年代に入って多くのレンズがAI方式化される中、OPレンズもAI化し、従来より2段も明るいf/2.8化、更にミラーアップ無しで取り付け、撮影が可能なのが本レンズだったようですが、すでにこの頃になるとFisheyeの学術的用途での使用が減ったのか、ついに市販化されなかったようです。
外観を見ても、完成度は高く、そのまま市販化されておかしくないレンズに見えます。もっとも、発売されたとしたら相当高価なレンズになったでしょうね。
作例も、大変素晴らしく、もし発売されていたとしたら、伝説的な1本になること間違いなしと思います。
続く…
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