まずは3本登場するZマウントレンズ2018年08月25日 06時56分

Nikonの新しいフルサイズミラーレスは、ボディ名称がZ 7, Z 6ですが、レンズマウント名称も、事前の噂通り、Zマウントとなりました。
Zマウントレンズのロードマップが公開されています。

Zマウントレンズのロードマップ

レンズ名称の末尾に"S"と着くのは、Nikonによれば、

「S-Line」とは、NIKKOR Z レンズにおいて新たに設定されたグレードで、ニコン独自の設計指針と品質管理を高い基準でクリアーし、特に高いレベルで光学性能を発揮するレンズに付けられます。

とのことです。
ロードマップを改めて見ると、現時点で公開されているレンズは全て「S-Line」と表示されており、NikonのZマウントは、安価なレンズはしばらくの間出すつもりはないことがわかります。
Canonでいう"Lレンズ"に相当すると思われるレンズが、現時点で予定されている全てのレンズに当てはまると言うことになります。

カメラボディと共にまずデビューするのは、3本のレンズです。
いずれもフォーカスリングはメカニカルではなくバイワイヤとなり、フォーカスリング(M/A対応)としての機能以外に、絞り値や露出補正も割り当てられます。バイワイヤ動作ですが、Nikonはエンコーダメーカーでもあり、その精度は折り紙付きですから、MF時のレスポンスなどは問題ないかと思います。
また、いずれも防塵・防滴に配慮、ナノクリスタルコートや非球面レンズ、EDレンズなど、よくよく見るとかなり豪華なレンズとなっていて、開放f値だけみてワンランク下のレンズ、とは言えない内容です。



NIKKOR Z 24-70mm f/4 S

開放f値の後ろにつく"S"が、まさにS-Lineを意味するもののようです。
開放f値がf/4と少し控えめですが、コンパクトにまとめられたレンズです。
ズーム全域で最短撮影距離0.3mですが、特筆すべきは、MTF曲線が、FマウントのAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRを超えていること。これは広角側も望遠側も、特に画像周辺部での向上が顕著です。チープな表現ですが、凄いの一言です。

▼NIKKOR Z 24-70mm f/4 SのMTF曲線(Wide側)
NIKKOR Z 24-70mm f/4 SのMTF曲線(Wide側)

▼NIKKOR Z 24-70mm f/4 SのMTF曲線(Tele側)
NIKKOR Z 24-70mm f/4 SのMTF曲線(Tele側)

作例を見ても、ボケ味の良さと解像感の良さが両立されていて、このレンズの素性の良さが伺えます。
もしかすると、AF-S 24-70mm f/2.8E同じ設計者!?

また、動画撮影もかなり重視しているレンズのようで、IF方式のレンズながら、フォーカシング時にピント位置の移動に伴って画角が変化する「フォーカスブリージング」を抑制する、とあります。動画撮影で、連続してピント位置をずらしていっても、画角の変化が少ないようです。
また、AFモータは、最近のレンズで増えてきているSTM(ステッピングモータ)で、超音波モーターと比較して耐久性に優れ、パルス駆動によるきめ細かい動作制御が可能で、特に動画撮影のように常にフォーカシングする撮影に適しているとされています。

沈胴式で、未使用時はコンパクトになるのも良い点です。この手のレンズで沈胴になるのは珍しいですね。AF-P 18-55mmの沈胴式のようにボタンを押して繰り出す必要はなく、電源オンで自動繰り出しなのもよいです。



NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

f/1.8シリーズの単焦点レンズで、個人的に好きな画角です。
f/1.8にもかかわらず、定価は12万円超と少々お高いレンズです。
しかし、あえて開放をf/1.4ではなく1.8として、コンパクトに作られています。
軸上色収差やサジタルコマフレアを抑制とあり、作例を見ても、ボケ味は手持ちのFマウントの同スペックレンズ、AF-S 35mm f/1.8G EDよりさらにとろける感じです。
370gとFマウントの同スペックレンズ(305g)より重いですが、非球面レンズ3枚にEDレンズ2枚と、相当コストが掛かっています。
f/1.8だからと馬鹿に出来ないレンズです。こちらもFマウントの同スペックレンズを上回るMTF曲線です。

▼NIKKOR Z 35mm f/1.8 SのMTF曲線
NIKKOR Z 35mm f/1.8 SのMTF曲線

AFモータはSTMとなります。



NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

ザ・標準レンズの50mmも、まずはf/1.8からデビューです。
こちらもf/1.8にしては高価な9万円超えです。また、上記2本から1ヶ月遅れの10月下旬発売とされています。
レンズ構成は9群12枚で、やはり贅沢に非球面レンズやEDレンズを使用し、サジタルコマフレアを抑えています。
これはFマウントの同スペックレンズ、AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gの6群7枚を大幅に上回り、結果的にサイズも重量も大きく重くなっています。
Fマウントの同スペックレンズが185gなのに対し、Zマウントは415gです。
贅沢なレンズ構成で、ボケ味もなかなかで、MTF曲線も大幅に上回ります。というか、50mmでこのMTF、かなりすごいです。AF-S 50mm f/1.8GのMTF曲線とは比べるべくもなく。まあ3倍高い値段なので。

▼NIKKOR Z 50mm f/1.8 SのMTF曲線
NIKKOR Z 50mm f/1.8 SのMTF曲線

やはりAFモータはSTMで、FマウントもSTMのAF-Pレンズが増えてきており、今後は大型の望遠レンズを除き、SWMより動画撮影も視野に入れたフォーカシング制御が可能なSTMが主流になるのでしょうね。


さて、上記3本以外に、開発が発表されているのが、まさにこの大口径Zマウントにふさわしい、従来のFマウントではマウント径の小ささから絶対にできなかった明るいレンズ、そして伝説の"NOCT"の名称を受け継ぐ、NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctです。

NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct

ニコンカメラ用交換レンズで史上最も明るいレンズです。
レントゲン写真の間接撮影用Lマウントレンズ TV-Nikkor 35mm F0.9というのはありましたが、業務用の特殊レンズなので除外されているかな?

伝説の、サジタルコマフレアを極限まで取り除いたAi Noct-Nikkor 58mm f/1.2Sのまさに再来、しかもより明るくなって登場。
AFレンズではなく、MFレンズとなったのは残念ですが、恐らくAFモータを組み込むと、あまりに大きく重くなり実用的では無いのかもしれません。個人的にはAFで出してほしいですね。でも、とあるツイートを見ると、中身はガラスの塊で、とてもAFモータを取り付けられるスペースはないように思いました

かつてCanonにあった、EF 50mm F1.0が、もう20年以上前で30万円超えでしたので、このレンズは恐らくそれを遥かに超えて50万円位するでしょうね。
Carl ZeissのOtusシリーズのような位置づけになるでしょう。憧れのレンズですね。
液晶パネルらしきものも見え、被写界深度表示はここに出るのかもしれません。

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