Niukon スライドコピーアダプタ ES-12014年10月11日 23時17分

Nikon ES-1とBR-5

EPSONから、実に7年ぶりに最上位機種のフラットベッドスキャナ、GT-X980が発売されました。
内容的には、光源のLED化(これは下位機ですでに搭載済み)と、フィルムの平面性を保つアンチニュートンリングのフィルムホルダの採用といったところで、7年前のGT-X970の小改良に留まりそうです。
すでにスキャナの世界では、大きな技術進歩はないのかもしれません。
単体スキャナ自体、もはや複合機に押されてニッチな市場ですからね。

国内メーカーからフィルムスキャナが発売されなくなって久しいですが、現状、フィルムスキャンするとなると、以下の方法となります。

1.海外製のフィルムスキャナ
2.国内メーカーの透過原稿対応フラットベッドスキャナ
3.500万画素程度のCMOSセンサ内蔵の簡易スキャナ

1の海外製フィルムスキャナは、台湾などのメーカーから出ているもので、かつての国産フィルムスキャナと同価格帯のものがあります。
性能は悪くなさそうですが、如何せん、海外メーカーであること、誰でも知っている名の通った大手メーカーではないことから、アフターサポートが心配です。値段が値段だけに、不具合発生時が怖い。簡単に修理できなそうです。
また、ドライバなども、きちんと更新してくれるか。そういうのを考えると、リスクがあります。

2が一番安心かつ安定している、と言えます。
しかし、結構場所をとる上に、構造上スキャン時のフォーカスの問題があります。
それを受けての、今回GT-X980がフィルムホルダを改良してきたわけですが、アンチニュートンリングのアクリル板で挟むことは、アクリル板そのものの傷や埃の付きやすさも考慮しなければなりません。

3は、安物デジカメ+透過照明といった構成で、簡易なので色の補正ができない、フォーカスが甘い、そもそもセンサの性能が悪い、ということで、そもそも選択肢に入らない。


これ以外の方法として、今回取り上げるのが、デジカメによるコピーです。
名付けて、「デジタルデュープ」とでも言いましょうか。
デジカメは現在も日進月歩で進化しています。これをフィルムスキャンに使わない手はない。
何しろ、デジカメですから撮影は一瞬。もっともセッティングに少々時間はかかりますが。

実はこの方法、フィルムカメラ全盛期から行われており、フィルムコピーに用いられています。きちんとそれ専用の道具も発売されていました。等倍以上のマクロ撮影をするためのべローズのアダプタとして、スライドコピーアダプタが市販されていました。

これを最近復活させたのが、PENTAXから発売された「PENTAX FILM DUPLICATOR」です。
PENTAXの商品ですが、構造的にどこのメーカーのカメラでも取り付けられます。
しかしお値段が…10万円超えます。
もちろん、それに見合った剛性のある造りでしょうし、フィルムコピーはわずかな平面性のずれもフォーカスがシビアで許されませんから、しっかりしたものを作る以上、現代ではこの値段になるのは仕方ないかもしれません。


しかし、もっと安くやる方法があります!
これが今回導入した、Nikon ES-1 スライドコピーアダプタです。実売4千円しません。マクロレンズ(Nikonで言うMicro Nikkorレンズ)の先端に取り付けます。


前世紀からゾンビのごとく販売されているこの商品、名前を見ると分かる通り、もともとスライドフィルムをフィルムカメラでコピーするための商品で、簡易的なものですが、そのままデジタルカメラにも使用可能です。
しかも、使用できるカメラは、フィルム一眼レフだけではなく、デジタル一眼レフでも可能。
今や3600万画素を超えるD800やD810があるわけです。フィルムカメラと違い、その場で確認できますし、何度もやり直しが効く。しかも、撮った後はRAW現像もできます。
もちろん、レンズの収差などの問題もありますから、フィルム専用のスキャナやフラットベッドスキャナとはまた違った問題は出てきますが、気軽に素早く撮影できるのは大きなメリットです。

レンズは、最新のAF-Sではなく、こちらも前世紀から発売されている、Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dを使用します。こちらも今回、1万円台後半の安価に入手。
もともと、この焦点距離のマクロ(Nikonの言うマイクロ)が欲しかったというのもあります。室内物撮りにちょうど良いですし。

なお、Nikon ES-1は、フィルタ径52mmのレンズに取り付けられるようになっているため、Ai AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8DやAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDはフィルタ径62mmですから、変換アダプタのNikon BR-5が別途必要です。

Nikon以外のカメラやレンズにも取り付け可能です。
フルサイズ機の場合は、55~60mmの等倍撮影可能なマクロレンズ(1/2倍までのレンズは中間リング=エクステンションチューブも使用)、ES-1取付け側フィルタ径が52mmなので、必要に応じてステップダウンリングが必要です。
APS-C機の場合は、Nikonの場合、40mmマクロが対応するようです。
必要に応じて、エクステンションチューブを経由すれば、m4/3でも使えるようです。


ES-1はスライドコピーアダプタ、と称しているように、本来スライドにマウントされたフィルムをコピーするためのもので、スリーブのフィルムの場合、直接は取付られません。いや、挟み込むことは可能ですが、フィルムに傷をつけてしまう可能性があります。
ここは工夫して、フィルムホルダを自作するのも手ですが、ちょうど我が家にはNikonのフィルムスキャナ用ストリップフィルムアダプタFH-3がありますので、今回はそれをそのまま利用します。


作例は次回に。

せっかくですから、Nikon D810 + Nikon ES-1 vs Nikon COOLSCAN IV ED vs EPSON GT-X750という対決なんかもやってみますか。スキャナがかなり旧世代ですが…。
特にCOOLSCAN IV EDは、メーカー修理もできませんので、今回ES-1を買ったのは、これがアウトになった場合予防措置でもあります。