SONY MDR-7506レビュー2014年04月11日 23時58分

MDR-7506にiPod接続だと、音量は若干上げ気味
既に多くのレビュー記事があるので、今更うちのブログで記事を書くまでもないのですが、書きたいことを書きたい時に、が当ブログのコンセプトなので、お付き合いください(笑

昨日はプレーヤー(Marantz SA-15S1)にいくつものCDをとっかえひっかえして楽しみまして。
エージングも済んでいませんが、印象を価格.comのレビューっぽく羅列。


【デザイン】
MDR-CD900STの兄弟と言われているだけあり、デザインはほぼ同じだが、ハウジングがプラスチックでメッキモールもなく、CD900STと比べると、写真で見るよりも現物は安っぽく感じるのが第一印象。
通称「青帯」のProfessionalステッカーが良いアクセントになっている。


【機能・使い勝手】
CD900STにはない折り畳み機構は便利。元々民生版だったCD900には折り畳み機構があり、7506はCD900ベースなんでしょうか?
カールコードは短めで、少し離れた場所に設置された機器で聴く場合は、延長コードが欲しい。映像撮りのモニター用としては適度な長さ。
ミニプラグ対応で、ポータブルオーディオにも気軽に使えるのがよい。
CD900STと比較してどうこう言うのは、実はナンセンスで、CD900STはスタジオでの音楽制作の為のモニターなら、7506は屋外の映像撮りのモニターとして最適化されているという事でしょうね。


【装着感】
ヘッドバンドは設計が古く、左右の長さ調整が今となっては面倒で、頭頂部のフィット感はそれほどでもない。
イヤーパッドも、CD900STよりは厚めになっているとのことだが、最近の中級クラス以上のヘッドフォンほどの厚みはなく、耳の大きい人は長時間装着はきついかもしれない。
幸い、自分は頭のサイズが人より少し小さいからか、大きさ的にはちょうど良かったです。


【サマリウムコバルトかネオジムか?】
MDR-7506は製造期間が長いせいか、ドライバユニットのマグネットの仕様が変わっているようです。
よく言われているのは、海外向けはサマリウムコバルトで、国内向け白箱はネオジム(SONYは国内版マニュアルではネオジウムと表記)とされていましたが、現在は海外版もネオジムマグネットとHPに表記されており、(http://pro.sony.com/bbsc/ssr/product-MDR7506/)今回購入したものも、箱にはNeodimiumの表記がありました。


【音質全般】
CD900STより低音が出るとか、ドンシャリだとか言われている7506ですが、一般の観賞用ヘッドフォンと比べて、わかりやすいズンとくる低音は出ません。場合によっては薄く感じますが、よく聞くとかなり低い周波数まで再生できているようです。これも、ソースに味付けせずに、ソースの低音の収録状態そのもので変わります。
高音は、ソースによっては突き刺さる印象あり。これも、音を丸めずにストレートに再生しているからか。解像感は程よく高いが、キレッキレの解像度、というほどではない。それでも、1万円クラスのヘッドフォンとしては、ずば抜けて解像度は高い。やや硬質な印象だが、エージングが進めば変わるか?
ヴォーカルは、ソースによっては耳元でささやかれているくらいゾクッとくるリアルさ。POPSの多くが、平面で乾いたヴォーカルに聞こえるのは、このヘッドフォンのせいではなく、ソースそのものがそう収録されているから、というのがわかる。

モニターヘッドフォンだけあって、ヘッドフォンそのものの評価をするというより、聴いたソース自体の評価になってしまうのが面白いところ。


【音楽評価】
・POPS系は、ソースの録音状態、録音品質が丸わかり。ソースによってこうも違うのか!というくらいばらつきが多い。

山下達郎はレンジが広く、とにかく楽器が明瞭で、丁寧に作られているのがよくわかります。

Mr.Childrenは、実はかなり音質に気を配った楽曲作りをしていて、このヘッドフォンで聴いていてもとても気持ちのよい楽器ばかり。
音源は古いが、アルバム「深海」のタイトル曲は、ダイブしていく様子がリアル。

中島みゆきは、スピーカーで聴く印象と異なり(スピーカーだとレンジの狭さを感じる)、意外にもしっくりはまり、程よいレンジで聴きやすい。レンジが適度に狭い分聴きやすいという事か?

・JAZZはこのヘッドフォンの真骨頂。各楽器の存在が明確にわかりつつ、音がストレートに伝わる。ライブ音源はきちんとライブとして、収録音源はテッドで楽器そのもの音が伝わる。良い悪いは別として、マイルス・デイヴィスのトランペットは耳に突き刺さるほど、まるですぐ耳元で演奏しているかのよう。
実際に間近でトランペットを吹かれたら耳に突き刺さりますが、まさにそれのミニチュア版。

・クラシックは、音場の狭さが気になるものの、JAZZと同様、各楽器の音が団子ではなく分離してきちんと伝わるので、本来のクラシックの楽しみ方とは違いますが、これはこれで。
やはりライブ音源なら結構楽しめまして、やや古いですがDENONから出ているドヴォルザークの交響曲第9番のライブ録音は、ライブ音源らしい響きと共に、各楽器の存在も明瞭で、これはスピーカーで聴くのとは違った新鮮さがあります。



【iPod touchでの音楽評価】
MDR-7506はインピーダンスが63Ωと高め。したがって、出力に余裕のないポータブルオーディオでの使用は若干不利で、手持ちのiPod touch第4世代の場合、普段つないでいるSONY XBA-3SL(インピーダンス12Ω)と比較して、同程度の音量にするにはボリュームをかなり上げ気味にしなければならない。
3SLでボリュームが3/10の位置だとしたら、7506は5/10程度か。
同じソニーのZ1000はインピーダンス24Ω、やや高めなEX1000の32Ωと比べても、さらに高いので、注意が必要。
やはり、前提が出力の大きい据置機や業務用機向けなので、民生用のカメラとの組合せでは、モニタリング音量に不満が出るかも。

さてiPod touchでは、ボリュームは一般のイヤホンよりは上げ気味にする必要はあれど、音量的には十分なレベルまでは上げることは可能。
据置機のSA-15S1と比べると、iPod内蔵ヘッドフォンアンプがしょぼいのは仕方ないが、音質的にはそこそこ楽しめると思う。この組み合わせでも、ソースの良し悪しがはっきりわかるのはさすがで、Appleロスレスで取り込んだノラジョーンズを聴くと、ボーカルの息遣いもはっきりと聞き取れる。迫力の出方は、SA-15S1と比べて後退する。また解像感ももう一歩か。
あれ、ヘッドフォンの評価ではなくiPodの評価になってしまったような…


【総評】
モニターヘッドフォンとしての資質は十分で、特に1万円弱でこれだけの解像度を得られるヘッドフォンは貴重な存在。
録音のモニタリング用途として、コストパフォーマンスに優れており、予算がないならこのヘッドフォンがおすすめ。
設計が古い分、装着感や加水分解しやすいパッドの耐久性は、最近の設計のものより劣るものの、長く作られているだけあって交換部品の入手がしやすい、メンテナンスしやすいのも魅力。
単純に音楽鑑賞だけなら、もっと音楽的によく聴かせてくれるヘッドフォンが存在するのも事実だが、それにはこのヘッドフォンの3倍以上の価格が必要。
ジャズなどテッドな音源をメインに聴くなら、このヘッドフォンを音楽鑑賞用として考えてもよいと思う。
ヘッドフォン好きなら、1つ持っていて損はないでしょう。