ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」(その1)2018年10月23日 05時49分

品川インターシティにやってきました。

品川インターシティにやってきた

もう先週のことになりますが、ニコンミュージアムの企画展「幻の試作レンズたち」ミラーレスZ 7が捉えた魅惑の描写、を観てきました。

ニコンミュージアム企画展「幻の試作レンズたち」
ピント合ってない(汗

Nikon初のフルサイズミラーレス「Z 7」に、Fマウントアダプタ「FTZ」を使用し、撮影した写真と試作レンズの展示となります。
2018年12月27日までとなっております。

試作レンズ10本を使った作品

50年代から80年代にかけて試作されたレンズのうち、10本を使って、Z 7で撮影された写真が展示されています。
なお、作品に自体の撮影は禁止です。上の写真は背景がボケているので、ギリギリセーフということで、実際の作品はニコンミュージアムでお確かめください。

撮影は瀬尾直道氏

撮影者は、元ニコンの社員で、写真家に転向した瀬尾直道氏。ものすごい経歴ですね。

●Nikkor-S Auto 105mm f/2.8
Nikkor-S Auto 105mm f/2.8

Nikkor-S Auto 105mm f/2.8

この当時、まだ非球面レンズは一般的ではなく、写真用レンズとしてはLeicaのノクチルックスが1966年に発売されたものが初だそうです。ニコンでも当時研究していたのは当然ですが、通常非球面レンズを採用するということは、球面収差を抑えるために用いることが多いのですが、このレンズはあえて球面収差を発生させているとのこと。
ただ、どの絞り値でも球面収差を発生させる、というのは商品としては難しかったのだと思います。
ちゃんとそれらしいシリアルナンバーが振られていて、何本か試作されたことを伺わせます。

作例は、柔らかな球面収差が発生しつつも、ピント自体はしっかり出ているよう思いました。

なお、105mmレンズ自体は、1971年にNikkor-P Auto 105mm f/2.5が商品化されています。レンズ構成も違う(Nikkor-Sは7枚、Nikkor-Pは5枚)ので、このレンズから派生したものではないと思われます。


●AI Nikkor 28mm f/1.4S
AI Nikkor 28mm f/1.4S

こちらも非球面レンズを使用した大口径レンズです。1985年に、すでに広角大口径レンズが試作されていたのですね。
Nikonでは、1994年にAI AF Nikkor 28mm f/1.4Dが発売されており、このレンズが後にAF化されて日の目を見たのでしょう。

描写は、Z 7でも何ら不足ない、素晴らしい写りでした。(作例を見ての感想です)


●GN Auto Nikkor 35mm f/2
GN Auto Nikkor 35mm f/2

フラッシュ撮影黎明期のレンズ。GN Nikkorは45mmが発売されましたが、GNはその1本だけだったことから、あまり需要がなかったのかもしれません。
レンズとしての性能は、何ら問題ないと思いますが、GNという特殊機構ゆえ、販売が難しかったのかもしれません。
なお、GN Auto Nikkor 45mm f/2.8は、1969年に発売されています。
ところで、この当時のレンズ名は、Nikkor-● Auto…でしたが、このGNレンズは、Auto NikkorとAutoとNikkorが逆に配されていて、レンズ構成を示す記号がありません。


●Nikkor 58mm f/1.2
Nikkor 58mm f/1.2



なかなか興味深いレンズです。伝説的なレンズとして語り継がれている、1977年に発売されたAI Noct Nikkor 58mm f/1.2(1982年にAI-S化)の試作レンズです。
Zマウントでも、Noct 58mm f/0.95として復活が予告されています。
このレンズの面白いところは、AI化されておらず、絞りリングは旧Nikkor Autoのままです。

描写はさすがNoct Nikkorの試作品だけあります。Z 7でもなかなかの描写でした。3次元ハイファイと呼ぶにふさわしいレンズです。
開放からコントラストが高く、サジタルコマフレアや球面収差を抑えた設計が描写に効いているようです。

Nikkor 58mm f/1.2の絞り羽根は7枚

ところで、このレンズの絞り羽根は7枚で、実際の製品のNoctも、初期型は7枚構成とのこと。
ちなみに、AI Nikkor 50mm f/1.2Sが9枚、Noctも後に9枚構成化されました。

本日はここまで。