Nikonのサンヨン遍歴2014年12月26日 23時52分

Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED

先日も書いた、AF-S NIKKOR 300mm f/4 FL VRの噂について、いよいよ十数年ぶりのモデルチェンジに期待がかかったNikonのサンヨン(300mm f/4)。

えがみ氏のBlog、エンジニアの嗜みには、2012年発表の300mm f/4の特許(http://egami.blog.so-net.ne.jp/2012-08-03)について書かれていますが、この特許では、FLレンズ(蛍石レンズ)ではなく、DOEレンズ(回折光学素子レンズ  http://www.nikon.co.jp/profile/technology/rd/core/optical/opt_elements/index.htm)を使用しており、今回の噂のレンズとは別物のようです。
そもそもこの公開特許のレンズは、VRは考慮されていないので、この特許の光学系のまま発売されることはないと思います。

そんなサンヨンですが、モデルチェンジしたとして、おいそれと買える値段にはならないことは必至でしょう。
なにせ、現行のAi AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-EDは2000年発売で、現在の税込み定価は\189,000。もう15年近く前のレンズですから、あの当時よりの物の値段は上がっていますからね。

恐らく、AF-S NIKKOR 300mm f/4 FL VRがデビューした暁には、定価は25万円前後になるのではと想像。実売も20万円は切らないでしょう。
そうなると、VRがない以外はさして欠点もなく、今でも一級品の画質とAF速度のAi AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-EDは、新品でも実売価格14万円前後ですから、このクラスのレンズとしてはリーズナブルな部類です。


ここで、唐突に、Nikonのサンヨンの歴史を振り返ってみましょう。
なお、初期のレンズはf/4ではなくf/4.5ですが、これも含めてサンヨンとしています。

・Nikkor-P Auto 300mm f/4.5(1964)
・Nikkor-H Auto 300mm f/4.5(1969)
・New Nikkor 300mm f/4.5(1975)
・Nikkor ED 300mm f/4.5(1975) EDレンズ搭載
・Ai Nikkor 300mm f/4.5(1977)
・Ai Nikkor ED 300mm f/4.5(IF)(1978) IF化され、最短撮影距離が4→2.5mに
・Ai Nikkor 300mm f/4.5S(1981) Ai-S化
・Ai Nikkor ED 300mm f/4.5S(IF)(1982) EDレンズもAi-S化
・Ai AF Nikkor ED 300mm f/4S(IF)(1987)AF化 開放f値がF4に
・Ai AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED(2000)DタイプAF-S化

私が先日手に入れた、Nikkor-H Auto 300mm f/4.5は、歴代サンヨンの2代目です。参考とした資料によっては、このレンズの光学系構成からか、Nikkor-Pの新型としているものもありますが、レンズ現物にはNIKKOR-Hの記述があるため、ここではHとしています。

70年代にEDレンズ搭載品が発売され、しばらくは安価なEDレンズなしと、少し高めのEDレンズ搭載品が併売されていたようです。

78年にEDレンズ搭載のものはIF化され、最短撮影距離が4mから2.5mに改善しました。

現行の1つ前の、AF初期の頃からのDタイプ化されず売られていたAi AF ED Nikkor 300mm f/4S(IF)も、現役当時は評判の良いレンズでした。
十年前くらいまでは、中古で数万円程度で多く出回っていたレンズですが、最近あまり見かけなくなってしまいましたね。
この代から、割とコンスタントにモデルチェンジしていたサンヨンは、長らくモデルチェンジが放置されました。
90年代には、多くのレンズがDタイプ(距離エンコーダ搭載)化される中、このレンズだけは、Dタイプ化されることはありませんでした。

そして2000年、13年ぶりにモデルチェンジし、当時まだ少なかったAF-S(超音波モータ内蔵レンズ)化され(もちろんDタイプ化もされた)、最短撮影距離は1.45mとより短くなりました。

それから14年、サンヨンはまたも放置プレイとなり、多くの望遠レンズがVR搭載しGタイプ化する中、発売され続けています。もっとも、VRがない以外、高画素デジタル化が進んだ現在でも十分通用する性能を維持しているため、プロ御用達のサンニッパほどのモデルチェンジが望まれていないというのもあるかもしれません。

いよいよ2015年、15年ぶりのモデルチェンジが期待されるサンヨン、楽しみですね。

いずれのレンズも、描写力は高く、サンニッパが買えない、大きく重く持ち運びが出来ない層には、サンヨンは値段も半額以下で、サイズも重量も半分以下で、重宝されているレンズという立ち位置です。


現行品は販売期間が長いため、中古も割りとよく出回っています。製造番号30万番台からは、初期のAF-SレンズにありがちだったAF動作時の鳴きが改善されたとの噂もあります。

新型のサンヨンの値段しだいでは、中古の現行サンヨンという手もあります。VRがないことが欠点ですが。

テレコンバータTC-14EIIIでは、DタイプのAF-Sレンズも使用できなくなりましたので、まずはTC-14EIIを入手して、新型の値段を見て、現行か新型かを検討しようと思っております。
そうすれば、現行のAF-S Dタイプを入手した場合でも、x1.4テレコンが使えますからね。