AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR発表! SIGMAの150-600mm Sportsとスペック比較2015年08月06日 01時53分

Nikonの超望遠レンズとしては信じられないほど安い、まさに戦略的価格のレンズ、AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRが発表されました。

AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR

ナノクリスタルコートは非採用とし、価格を抑えた設計のようで、これまでのNikonにはない流れの望遠レンズです。
200-500mmという焦点距離のレンズは、かつてTamronから発売されていましたが、このレンズはf/5.6通しで、ズーミングにより開放f値が変動しないのが魅力です。
噂では、NikonとTamronの共同開発とも言われており、今回発表のレンズとは光学系や開放f値が違うものの、エンジニアの嗜みでもNikonとTamronが共同で特許を出願した200-500mmが紹介されているので、あながちない話ではなさそうですね。

さてこのレンズ、定価189,000円で、既に販売価格が15万円代前半となっています。
いくらf値の暗い望遠ズームとはいえ、この価格は従来のNikonでは考えられないくらい安く、モータースポーツ、鳥やヒコーキ撮りな方から相当人気が出るでしょう。

このレンズのライバルは、価格的にTamron SP150-600mm F/5-6.3 Di VC USDやSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryが当てはまると思いますが、ここは今自分が所有しているSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sportsとのスペック比較をしてみましょう。
価格的には、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Sporstは実売20万円弱と高価になり、かつて安物レンズメーカーだったSIGMAも、今や純正と肩を並べるどころか、場合によっては超えるメーカーとなりましたね。

●MTF曲線比較 (SIGMAは波動光学的MTFを掲載)
▼WIDE側(Nikon 200-500mm)
Nikon WIDE側

▼WIDE側(SIGMA 150-600mm Sports)
SIGMA WIDE側

メーカーが違うので、表も異なり(SIGMAは波動光学的MTFを掲載しましたが、SIGMAのHP内の幾何光学的MTFはまた違ったグラフになります)、一概に比較できませんが、ここは明らかにNikonのほうがコントラスト、解像度ともに勝りそうな印象です。特にNikonは、10本/mmのラインがほぼ”1”に引かれていて、安価ながら性能面は良さそうです。30本/mm線も0.9以上の数値がNikonでは出ており、ズーム倍率がSIGMAより欲張っていない分、良好な性能が得られているのかもしれませんね。

ちなみに、SIGMAの150mmでの実写性能は解像度は申し分なく、MTF曲線はあくまで目安でしかありませんので念のため。
前述のとおり、SIGMAのHPにある幾何光学的MTFを見ると、もう少しグラフの数値は良くなります


▼TELE側(Nikon 200-500mm)
Nikon TELE側

▼TELE側(SIGMA 150-600mm Sports)
SIGMA TELE側

面白いことに、NikonもSIGMAも、TELE側のほうがMTF曲線が良好です。この手の望遠ズームは、望遠端側の使用頻度が多いため、このようにTELE側に性能を振った設計は納得がいきます。
Nikonは、安価なレンズにもかかわらず、TELE側でも10本/mmは"1"に近く、30本/mmも良好です。SIGMAも、この手の600mmレンズとしては良好ですが、それにも増してNikonが頑張っています。

SIGMAの150-600mmはなかなか評判の良いレンズで、品薄が続いていますが、Nikonのこの200-500mmの実写性能がSIGMAを上回ることが出来るか楽しみですね。

個人的に、SIGMAの150-600mm Sportsを使っていて気になるのは、OS(手ブレ補正)やAFスピードが今一歩かな、と思うところ。
Nikonの200-500mmは、VRが4.5段分となっており、最近出たサンヨン(AF-S 300mm f/4E PF ED VR)のVRが吸い付くような素晴らしい効きなので期待してしまいます。Sportsモードも有り、流し撮りにも効果的です。
一方AF速度は、実際に使ってみないと何とも言えませんね。
防塵防滴性能は、そもそもNikonはあまりカタログで謳わないので、このレンズでは未知数ですが、実際の防塵防滴性能は大いに気になるところです。

SIGMA 150-600mm Sportsより軽量コンパクトなAF-S 200-500mm、その性能によっては買い替えも…、いや、やっぱり600mmあると結構違うんですよね。悩ましいところです。ただ、純正レンズはやっぱり信頼性が違いますからね。

●スペック比較
   AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR  SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM 
 発売年   2015年9月17日   2014年10月24日
 レンズ構成  12群19枚 (EDレンズ3枚)  16群24枚 (EDレンズ3枚)
 開放f値  f/5.6  f/5-6.3
 最小絞り  f32   f22-29
 絞りバネ枚数  9枚(円形絞り)   9枚(円形絞り)
 最短撮影距離  2.2m(ズーム全域)   2.6m
 絞り方式  電磁絞りによる自動絞り   機械連結による自動絞り
 最大撮影倍率  0.22倍  1:5(0.20倍)
 フィルターサイズ  95mm   105mm
 AF動作方式  レンズ内蔵超音波モーター   レンズ内蔵超音波モーター
 手ブレ補正機構  VRII(4.5段 CIPA規格)  OS(補正段数不明)
 質量  2300g(三脚座含む)  2860g
 寸法  108mm(最大径)x267.5mm  121.0mm(最大径)x290.2mm
 フード  HB-71(バヨネット式)  LH1164-01(かぶせ式)

こうして比べると、やはりNikonの200-500mmのライバルは、SIGMAならSportsではなくContemporaryですかね。
大きさも重さも一回り違います。

いずれにしろ、Nikonの200-500mmの実写性能とAF性能は楽しみですね。