トルコ海軍フリゲイト「ゲディズ」(F495)晴海埠頭一般公開レポート ― 2015年06月07日 23時03分
先日金曜日、トルコ海軍のG級ミサイルフリゲイト「ゲディズ」(F495)が、晴海埠頭に寄港しましたので、ちょうど仕事が休みというのもあって、見学してきました。
写真が多めになりますが、めったに見られないトルコ海軍艦艇(と言っても元米OHペリー級ですが)なので、詳細と雰囲気を味わっていただければ。
9時半前に到着すると、ちょうど接岸作業中でした。トルコの国旗が艦首に掲げられていますし、よく見るとマストのところには日本の国旗も掲げられています。
本当はもっと早く来て航行中の撮影もしたかったですが、朝は色々忙しくって。
日本人に馴染みが薄いトルコですが、親日国の1つですから、あとで色々話を聞くと、乗員も日本に寄港することが楽しみのご様子でした。
マストと艦橋の様子。
この艦は元々アメリカ海軍のオリヴァー・ハザード・ペリー級フリゲイト「ジョン・A・ムーア」(FFG-19)で、1981年に就役し、2000年に退役した艦を取得したもので、中古ではありますが、トルコ海軍編入後に一部改装を行っており、その1つとしては、対空レーダーがオリジナルの二次元レーダーAN/SPS-49から、三次元タイプのSMART-Sに改装されています。
これと戦闘式システム等の更新により、オリジナルより対空性能が向上していると思われます。
元々安価な防空艦というコンセプトで二次元レーダーを採用したOHペリー級ですが、アメリカ海軍以外では、現在も第一線級の防空艦ですから、レーダー改装でまだまだ現役を貫き通すのでしょう。
式典中の様子。一般人は入れないので、柵越しに撮影。
入港が押したのか、式典などのスケジュールも後ろ倒しとなり、10時からの一般公開だった予定が、11時からとなってしまいました。
やっとこさ乗り込めます。
と言っても、飛行機のイベントと違い、まだまだ艦艇ファンはそう多くありません。最近ミリタリ物のイベントでも増えつつある若い女の子も殆どいません。最も平日の金曜日ですしね。
混んでいて、10人ずつの案内ということなので、並ぶ前にひと通り艦の様子を撮影。
海外の艦艇は、銘板が立派なフネが多いですね。銘板の上には、最近艦艇に一般的に装備されつつあるLRADの超指向性スピーカーも見えます。
けっこう並んでいるように見えますが、航空機関係のイベントではこれより桁違いに多いので、フネはまあこんなものです。ちなみに午後はもっと少なかったな。
Mk.32短魚雷発射管。これは米海軍時代からそのままかな? だいぶ年季が入っている感があります。
近代改修しているとはいえ、30年以上前の艦艇故、あちこち傷んできていますね。塗装も結構斑ですし、あちこち凹んだり傷ついたり。それに比べると、同じ世代の海上自衛隊のゆき型護衛艦は、手入れが良いのかここまで傷んで見えないですね。
他国の艦艇を見ると、海上自衛隊の整備の良さは特筆するものがあります。
さあもう少しで乗り込めます。あれ、なにやら画家っぽい人が、絵画を手に降りてきましたよ。
この後乗り込みましたが、10人単位のグループに、必ず案内の乗員1名がつくという素晴らしい対応でした。聞く前から色々と説明してくれます。もちろん英語ですが。
トルコは様々な民族から構成されているため、トルコ語だけではなく多数の言語が使用されているようで、皆が皆英語を話せるわけでもないようです。
主兵装である、SM-1MR対空ミサイル発射用のMk.13単装発射機で、これはオリジナルから変更無いようです。SM-2に対応しているかは不明です。
横に立っていた兵士の方は、皆にカメラ目線で撮影に答えていたので、警備のためというよりは、見学のデモンストレーションとしていたようです。
オリジナルにない兵装として、Mk.13発射機の前方に、Mk.41 VLS 8セルが増設されています。これはオーストラリア海軍の、やはりOHペリー級をベースとしたアデレード級の近代改装でも同様に増設されていて、ここにはESSM(発展型シースパローミサイル)が搭載されているようです。
埋め込まれたセルが、下層の元々あった区画配置などにどう影響してくるのか、前方の重量増に伴う凌波性への影響などが気になります。
ESSMは、個艦防空用ミサイルですが、射程距離はSM-1MRを超えると言われており、艦隊防空の一部も担えることが出来るかもしれません。ただ自艦以外に飛翔するミサイルを攻撃できるかは別の話で、そのような射撃管制が近代改修によって出来るようになったかはわかりません。
いずれにしろ、前述の3次元レーダーへ改装も含めて、米海軍時代より相応に防空能力が強化されていると言えます。
この後、艦橋に上がることは出来ましたが、残念ながら艦橋内部は撮影禁止でした。
艦橋の様子としては、ホストシップとして同行している、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」と比較してかなり狭く、レーダースコープなどあらゆる装備が古めかしい感じがしました。四半世紀も世代が違うから、比較してはいけないですが、体格の良い欧米人が、日本の艦艇より狭い艦橋に詰めているのは、なかなか大変そうです。
で、艦橋から出てみたところ、何やら撮影中のご様子。あれ、あの中央の白髪の方、見たことあるぞ!
どう見ても、軍事評論家の岡部いさく氏でしたが、帰って改めて見なおしてみて、やっぱり岡部いさく氏でした。
ビデオカメラも主要放送局と言うよりは、CSとか小さな制作会社っぽい感じでしたので、テレビでもCSとか深夜番組、あるいは雑誌向けの取材かもしれませんね。
横にいる女の子が、素人っぽい薄っぺらい感想(失礼!)を言って、岡部氏が答えるという感じで撮影していました。
こちらは、最近多くの艦艇で搭載されるようになった、LRAD社の超指向性スピーカー。音響兵器だなんて書いているサイトも見かけますが、本来は一定方向のみに大音量を発することが可能な超指向性スピーカーで、海賊対策で、海賊やテロリストなどに向かって警告を発することができます。
これを兵器というなら、包丁も兵器でしょう(笑
Mk.36 SRBOC チャフ・フレア発射装置。これは西側海軍の多くが装備しているもので、チャフ(電波を乱反射させる糸状の金属)やフレア(赤外線探知ミサイル欺瞞用の発熱体)を発射します。
これも米軍時代からのものと思われます。
SM-1MR対空ミサイルを主に管制する(砲の射撃管制も可能)、Mk.92射撃指揮装置用のSTIR(Separate Target Illumination Radar)のアンテナ。
最大2目標の管制が可能ですが、今となっては他目標に対応できない、旧式なものです。これも米軍時代からそのままのようです。
ESSMの管制にも用いるのでしょうか? SMART-Sレーダーが、ESSMに対応できるとされているので、こちらは使用しないのかもしれませんね。
76mm砲は、艦のスペースの制約で、艦橋上部中央付近、STIRの後ろに設置されていて、射界には制約があります。前方に向かって発射できません。よくもまあこんな位置に設置したものだと思います。
ゲディズには、いたる所にこうした機関銃が設置されていて、6基くらいは搭載されていたように思います。
海賊対策なんでしょうね。80年の歴史を持つM2機関銃が設置されていました。他にMG3機関銃も設置されていて、いろいろかき集めて設置したっぽい印象。
カメラを向けると笑ってくれました。まだ夏前とはいえ、これはさすがに暑いでしょうね。
20mm CIWS ファランクスMk.15 Block0、これも米軍時代からのものと思われ、初期型のBlock0でしょう。
搭載ヘリコプターは、S-70Bで、それに合わせて後部甲板もOHペリー級後期型と同様、拡張されています。
ヘリ甲板に降りたら、こんなのを頂きました。Commanding Officerのサイン入りで、その場でたくさんサインしてました。ご苦労さまです。
とにかく乗員の方々は皆さんとてもフレンドリーで、ぜひ記念に写真に写ってくれ、と集めて写真撮影していまして、私も写真に収まりました(笑) 親日国を肌で感じだ次第。
トルコに対する好感度は、この日相当アップしたと思います。
フネを降りて艦尾側から撮影していると、なにやらダイバーがスタンバイし、カメラ目線です(笑
ダイバーが飛び込んで、この後再び海中に消えました。艦底の状態確認でしょうね。
乗り込むとき、画材を持って降りていった画家さんは、ちょうど絵を仕上げているところでした。ところで彼も乗員なんでしょうか?
わざわざポーズをとってくれました。
そしてこの後、何故か岡部いさく氏の撮影スタッフに間違われ、トルコ海軍の隊員に「一緒に写真に入って」と急かされ、岡部いさく氏の後ろに並んで写真を撮られました(笑)
最近撮影スタッフに間違えられることが多々あります(汗
周りはみんな、コイツ誰だって思ってるんでしょうね。
水彩画でしたが、なかなか前衛的な色使いですね。
今回は写真多めでスミマセン。なかなか見る機会のないトルコ海軍艦艇なので、ついつい長居してしまいました。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://yamaro.asablo.jp/blog/2015/06/07/7663980/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。